伝わる文章のルール14 わかりやすさは「技術」
文豪の「手紙」に学ぶ。
問題:「次に紹介する「手紙」は、ある作家が読者に送ったものです。
この「手紙」を書いた作家は、誰でしょうか?
「あの「心」といふ小説の中にある先生といふ人はもう死んでしまひました。名前はありますがあなたが覚えても役に立たない人です、あなたは小学の六年でよくあんなものをよみますね、あれは子供がよんでためになるものぢやありませんからおよしなさい、あなたは私の住所をだれに聞きましたか。」
・・・ヒントは「心」と「先生」
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↓教科書でも、おなじみの。
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↓ K
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それでは、答えをどうぞ!
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◯答え:「夏目漱石」
どうでしたか? わかりましたか? これは「こころ」を読んだ小学生から送られてきた、質問に対して、夏目漱石が返信した手紙です。有名な手紙ですから、御存知の方も多かったかと思います。
私は、この「手紙」の文章がすごく好きで、時折読み返したりしています。読んでいると、書いている人(漱石)の人柄といいますか、優しさが伝わってくるような、気がするからです。読み手に合わせた「わかりやすい文章」で、丁寧に話し掛けているような雰囲気が、凄くいいですよね?
■「わかりやすさ」は「技術」である。
たくさんの文章を、添削してきて思うのですが、
「わかりやすい文章 = 誰でも書ける = 評価が低い」
「難しい文章 = 技術が必要 = 評価が高い」
というような図式が、無意識のうちに頭の中にあるように感じます。難しいコトバが並んでいると、それだけで「レベルが高く思われる」といいますか、なんだか賢そうだ、といいますか(笑)わざわざ、どこかで借りてきたようなコトバを使ってまでも、難しい文章を書こうとする人が多いのです。
しかし、私は『わかりやすく書くことは、大切な技術のひとつ』だと考えています。逆に言えば、ある程度演習をすれば「難しい文章」といいますか、格式が高そうな文章、は書けるようになると思うのです。ところが「わかりやすい = 読んでいる人に伝わる文章」は、意識をしてコツコツと磨いていかないと難しいものだと、思うのです。文章の「わかりやすさ」は「技術」なのです。身につけようと試みなければ向上していかないのです。
■天才『夏目漱石』に学ぶ
と書くと、なんだか大袈裟ですが、漱石の手紙を読んでいると「文章は人柄なんだな」と改めて感じることが何度もあります。読む相手に合わせて、丁寧に話し掛けていくような文章は、読んでいて本当に気持ちがいいものです。
ぜひみなさんも「自分のホームページ」を見直してみて下さい。そして「自分の文章は、お客さんにとって『わかりやすいかどうか?』」をチェックしてみて下さい。わかりやすさは、技術です。学んで磨いて鍛え上げていかないと、光らないんです。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝