ルール75 日本文学作品を「英文」で読んでみよう。(宮澤賢治編)
問題:以下の英文は、宮澤賢治の作品を英訳したものです。
作品名を答えなさい。
"Now,do you know what this long white thing is?" asked the teacher.
"Some people say it's a river. Other people say it's made of milk."
↓ まずは、自分なりに日本語訳にしてみましょう。
↓ そう、有名な、あの作品ですよ。
↓ ヒント「river(川)、milk(ミルク)」
↓ では答えです・・・。
答え:「宮澤賢治 銀河鉄道の夜」
銀河鉄道の夜の冒頭でした。ちなみに原文では、
「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」
(銀河鉄道の夜 一、午后の授業より)
となります。なるほど、英語訳にするとこのようになるのか・・・。訳者の色々な工夫が感じられて、興味深いですね。
※英文出典「The Night of the Milky Way Train (訳:とよさきようこ ステュウットA ヴァーナムーアットキン IBCパブリッシング)
対比することで、本質が明確になってくる。
「様々な視点から、ものごとを考えましょう」という文を目にすることがあります。確かに、私たちは「いつもと同じ視点で、いつもと同じ発想」で「いつもと同じような判断」をしてしまい、たくさんのことを見落としてしまうものです。しかし同時に「いつもと違った視点を持つ」は、自分が想像しているよりも難しいものです。
そのような時は、今回のように「英文訳にしてみたら、どのようになるだろう?」と、根本的な部分から視点を変えてみることも面白いと思います。日本語と英語を対比させてみることで、日本語そのものの特徴が明らかになります。軽く読み流していた部分にも、たくさんの要素が含まれていたことが見えてきたことと思います。
異質なものと対比させてみることで、本質があきらかになってくる。くっきりと浮かび上がってくる。今回は、その試みのひとつとして、宮澤賢治の作品を取り上げてみました。日本語という言語がもつ雰囲気。そして、それを英訳していく訳者の技術と情感の深み。いろいろな事を感じていただければ、うれしく思います。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
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