独立起業して17年目に、考えたこと(その2)
(その3)文章を書く時に、大切にしてきたこと。
私が「文章を書く」時には「自分の軸を確かめる」ということを大切にしてきました。軸は優先順位、と書き換えることもできるでしょう。迷った時、読み返して違和感を感じる時には「今書いた文章は、自分の軸によりそっているか」を、確認するようにしてきたのです。たとえば、このような文章講座の場合ですと、
「自分が体験(実感)できたことを、書く」
を、ひとつの軸としてきました。
実際に、私がこのホームページに書いてきたことは、私自身が独立起業し「自己資金で、広告を作ってきた体験」から見つけたことをベースにしています。何かの本を読んだり、調べただけの情報ではなく、自分の身銭を切って「体感」したことを書いているのです。つまり、「これは、自分が実際に体感したことだから =書く」「これは、よさそうな情報だけど、自分が体感してはいないから =書かない」と判断する基準にしてきたのです。
私は、家内制手工業のように手作業で確かめながら組み立てていく方法を好みます。そして、そのようにして私(自我)を通過し体感できたことを、言葉として表現することに、適正(のようなもの)があったのだと思います。早い段階に「自分に合った軸」を定めることができたことが、今振り返ってみると「よかったこと」だと感じるわけです。
独立起業し、事業を育てていくには「軸」が必要です。その軸に旗をつけて、より多くの人に見てもらえるように、振り続けていく必要があります。旗のデザインは時代によって、変更が必要ですが、軸はそうそう変えることはできません。どのような軸を、どこに立てていくのか。それを考えてみることも、起業を準備していく時間の中で、有意義な時間になるのではないかと感じています。(その4)へつづく
(その4)経験を積むことの、プラスとマイナスについて
前回の話題に絡めて考えてみますと、やはり「経験を積むことの大切さ」を実感できたということがあげられます。何かの本で読んだとか、話を聞いたとか、机上の空論などでもなく、自分の身体を通して体験を通して得た「本物の経験」が持つ力というものは、想像していたよりも大きな土台になってくれるものです。
では「経験を積む」ということを、もう少し掘り下げて考えてみましょう。「経験が増える」という事は「選択肢が増える」ということを意味します。最初の頃は経験が少ないですから、限られた選択肢の中から選択していかなければいけません。広告を作るにしても自分が知っている2〜3のパターンの中から1つを選び、そこから試行錯誤して良いものを作っていこうと努力をするわけです。
ところが、その1つが間違っていたり、浅い理解で留まってしまっている場合にはどんなに頑張っても、それなりの結果にしか辿りつかないわけです。しかし選択肢がないから、どうすればいいかわからない。わからないけれど、なんとかしようともがく。非常につらい戦いの時間が続いていくわけです。
経験 = 選択肢 が増えていく。
しかし、学ぶこと、考えること、実践することを止めずに続けていけば、少しずつでも確実に経験が蓄積し選択肢が増えていきます。さらに実践を重ねることで、選択肢の中から「自分の成功パターン」のようなものが見えてきます。
その「成功パターン」に、季節ごとのパターンを組み合わせたり、媒体(ポスター・フライヤー・パンフレット・ホームページなど)ごとのパターンを組み合わせていくことで、パリエーションは掛け算で増えていきます。もちろん失敗もありますが(失敗のない成功は存在しません)軌道修正できる経験値が備わっていますから、このくらいなら乗り越えていけるという底力のようなもの育っていきます。
経験を積む、ことによるマイナス。
しかしながらプラスがあれば、マイナスの部分もあります。例えば「経験を積む事により見つけた、自分の成功パターン」は自信ともなりますが、同時に「この成功パターンは、絶対だと思い込んでしまう = それに縛られてしまう」と信じてしまう自分も生まれてきます。
その成功パターンが時代遅れのものなっていたとしても、自分が積み上げてきたものを守りたい、という意識が存在するようになるのです。成功パターンを組み立てる本来の目的は「よりよい広告」を作るためのはずだったのに「成功パターンを守る」という本末転倒なことに意識が向いてしまい、改善することを拒むようになります。
私たちは適度な刺激は好みますが、大きな変化には臆病になるものです。それが長い時間をかけて積み上げてきたものならば、なおさらです。みなさんも「別に今のままでいいじゃないか」と考える時間が増えているならば、それはこの「過去の成功パターンに固執しているスパイラル」の中に入っている状態かもしれません。
過去の成功パターンから、抜け出す方法を考えておく
このスパイラルに入ってしまうと、抜け出すことは困難ですし、自分自身で気がつくことも難しいでしょう。なぜそんなことがわかるかというと、私自身も「体験」してきたからです。偉そうに書いていますが、すべて私自身も体験してきたことだから、それがよくわかるのです。
ですから、そこから抜け出す方法(習慣)を考えておく必要があります。私の場合は、本を読むことや音楽や映画、アート作品に定期的に触れることは大前提として、できるだけ様々な世代の人たちと話をするということを心がけてきました。自分が年齢を重ねてくると「自分の世代の価値観が、すべての世代に通用する」と言うような思い込みが生まれてきます。しかし、自分たちが好んできたものが、他の世代に好まれるとは限りません(逆もまたしかり)。自分の10代の頃の価値観が、今の10代には「重ならない」のです。
とにもかくにも「めんどくさい」と言う感情が湧いてきたならば、それは「今までの自分のやり方で十分」だというマイナスの方向へ進んでしまっているのだ、と意識するきっかけになると思います。これは、私自身も自戒しているつもりですけど、なかなか難しいものですよね。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
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