独立起業して１７年目に、考えたこと（１）

※以前、あるサイトに「起業して１７年目に考えたこと」というテーマで書いた文章に加筆修正したものを、こちらに掲載します。若手起業家のみなさんの参考にしていただけると幸いです。
 
 

（その１）起業し「継続させる」ために大切なこと。

 
この７月で、私（佐藤）が独立起業して１７年目を迎えることになりました。 １７年も過ぎますと、記憶と時間の感覚が歪んでしまい、遥か昔のことのようにも、ほんの１～２年前のことのようにも思えます。これは本当に不可思議な感覚です。
 
それにしても昨今の社会情勢の中で、私のように独学のみで起業をしたような人間が、これほどの期間「継続できたこと自体」が奇跡的なわけです。そこで、私自身の体験から「継続するために、大切だと思われること」を探ってみますと、
 

精神を、安定させていくこと。

 
が、重要なポイントではないかと考えるわけです。
 
事業を継続させるためには、時代の変化に合わせて「戦略・戦術・商品開発・コミュニケーション・市場分析・マーケティングなど、など」様々な事柄を学び、アップデートしていかなければいけません。どれかひとつを注意すれば良いというのではなく、全てに目を配って満遍なく手を加え続けていく必要があるわけです。
  

しかし、それを使うのは「人間」であることを、忘れてはいけません。

 
私たちが「人間」である限り、精神状態は日々（または数時間ごとに）大きく変動します。どんなにすばらしい情報やツールがあったとしても、それを使用する人間の精神状態に大きく影響を受け左右されてしまうものです。人間はコンピューターではありません。同じ手順で、同じ作業を実行したように（思い込んで）も、必ずどこかにブレが生じます。わずかな感情の変化で、誤った判断を行ってしまいます。そのような小さなブレを繰り返していけば、大きな差になっていくことは想像に難くないと思います。
 
 

■小さな決断が、大きな流れを作っていく

 
起業する、と聞くと「大きな決断が、事業の展開を左右する」という印象を持つかもしれません。確かに勝負どころは存在しますが、そのような大きな決断を迫られる場面というものは、そうそう多いものではありません。
 
いや、 

小さな判断の積み重ねが、大きな決断への流れを作っている。

 
が、より正確な表現かもしれません。日々の小さなできごとを「安定した精神状態で取り組んでいけるかどうか」が、大きな決断の場面での判断を、最善の方向へつなげていく鍵になるということです。
 
わずかな感情の動きで、様々なできごとは想像以上に左右されています。たった一言がきっかけで恋愛関係が始まったり、別れてしまうことと同じです。日々、どのような言葉を使っていることが大切なのです。
 
 
これから起業を目指して準備をしている方はもちろん、会社の中で出世を目指している人、転職を考えている人でも「今、自分がどのような精神状態でいるのか」を客観的に把握し、どのような状況でも安定して思考し判断できるような状態を保つことが、大切であったと私は考えています。そしてこれは、一朝一夕で身につくものではなく、体験により叩かれ痛みを伴うことで少しずつ学んでいけるものだと感じています。
 
すぐに身につくものではないからこそ、成長するにはしかるべき時間が必要な部分だからこそ、じっくりと取り組んでいきたいところであり、また１０年後に差が開いてくる部分だと感じているわけです。（その２へ　つづく）

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（その２）目標設定にも「準備」が必要である。

 
先日、部屋の中を整理していた時に、１０年ほど前に使っていた手帳の束が出てきました。当時のことを思い出しながら、めくっていると中に「目標を書いたメモ」が挟んでありました。当時「夢は書くと実現しやすい」という事をどこかで目にした時に、試しに書いてみたメモです。
 
さて、当時はどのような目標を書いていたのか。そして、どのくらいの確率で実現しているのか？おそるおそる覗き込んでみると・・・、そう、ほとんどが実現していたのです。
 
いやいや、私は「夢は書くと叶う！」という話をしたいのではありません。私が当時立てていた目標が「少しがんばれば、なんとか手にできるものばかりだった」ということなのです。その程度の事項を「目標」として設定し、それに向かって全力で挑戦（と、自分が思い込んでいること）を繰り返していたのです。
 

■私たちは「想像できないこと」を「夢見ること」はできない。

 
想像するには「要素（知識・体験）」が必要です。何もないところから、リアルに想像することはできないのです。天賦の才能溢れる人ならば、少ない材料でも面白いものが作れるでしょう。しかし、私も含めた多くの人達は「豊富な材料」で「組み合わせ」を試していくことで、新しい可能性を見出していくのです。こんな世界もある。このような場所もある、と自分の中に存在していない要素に触れることが大切なのです。
 
自分にとって「正しい目標が定まった」ならば、そこへ到達するスピードもエネルギーも一気に加速していきます。不思議なもので、今までとは違った「何か」が面白いように集まりはじめます。困難や苦労も「何も気にならない」ほど、目標に向かって楽しみながら進んでいる自分に気がつきます。それを見つけるにも「準備」が必要なのです。
 

「夢を見る」にも「準備（知識・体験）」が、必要だ。

 
過去の成功事例や、狭い知識だけで未来の方向を決めてはいけないぞ。興味や関心がある分野が見つかったならば、もう一歩だけ踏み込んでみる勇気も必要だ。時間は限られているし、決して逆戻りはできない。そして走り始めれば、今よりもずっと時間が不足していく。歩き出すことだけを考えずに、少しだけ立ち止まって周囲を見渡してみよう。そこから学べることは、まだまだたくさんある。時間を惜しんで、学んでいくのだ。１０年前の自分と話すことができるのならば、そんな風に叱咤激励してやりたい。そして、この文章を読んでいる、これから独立起業を目指す若き起業家のみなさんにも、参考にしていただければ嬉しく思います。（その３へ つづく）
 

伝わる文章講座　佐藤　隆弘　拝
 
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