ルール 42 読書スタイルから見る、伸びる生徒、伸びない生徒の違い。
ルール 42
本を選ぶ時に、間違いやすいこと。
私は、かれこれ10年以上もの間、教育の世界で指導を行ってきました。単純に数えて数百人以上の生徒を指導し、数千時間ほど授業を行ってきたことになります。さすがに、これだけの現場経験を積むと、その生徒が伸びるか伸び悩むかが、初期の段階で、ある程度予測できるようになってきます。
例えば「本(テキスト)を読む」という基本的な作業を見ただけでも、そこに伸びる生徒と伸びにくい生徒との違いを見つけることができます。
自分にとって「良い本」とは? 伸びにくい生徒の場合。
成績が伸びにくい生徒は、本を読んでいても『自分の考えに合っている部分』だけを無意識のうちにピックアップし確認する作業で終わらせてしまいます。つまり「自分の考えと一致する部分が多い本 =良い本」と判断しそのような本だけを好んで読もうとするわけです。
この方法ですと、読んでいる最中は作者に共感できるので楽しく読み進められます。しかし、新しい知識を吸収するための読書というよりは、すでに自分の中にある情報を復習(再確認)する読書になってしまいますから、自分の考えに合わない部分や自分が重要だと感じない情報には、例えそこが必要な情報だったとしても読み飛ばしてしまうため、新しい知識が入ってこないわけです。その人にとっては、
「良い本 = 自分の考えと一致する本」なのですね。この方法だと、読書を重ねる度に「自分の考えが強固」になるメリットはありますが、反面「自分以外の考えが希薄」になる場合があるということです。「でも・・・」と今思った方は、この傾向が強いかもしれませんよ(笑)
「自分に関係ない本」に、必要なことが書いてある。
今の自分には「必要ない」と、考えている部分にこそ、実は「今の、あなたに本当に必要なこと」が、書いてあるのかも、しれません。好きか嫌いかだけで判断して、偏った知識だけを吸収していないか?自分に合っているか、いないかだけで学習方法を決めていないか?客観的にそのバランスを確認しながら学習を進めてみてください。
それまでは「この方法は好きじゃない」と手をつけずにいた方法でも、一度、試してみて体験してみることで良くも悪くも、見えてくるものが広がり増えていく場合が多いものです。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝