ルール39 まずは「ひとり」に伝えていく。
ルール39 まずは「ひとり」に伝えていく。
大学を卒業した私は、まず最初に地元の進学塾に就職しました。初めての授業は10名ほどの生徒数だったのですが、本当に緊張してボロボロの授業だったことを覚えています。それが最終的には、40人、50人の生徒の前でも、毎週同じ様に授業をして盛り上げて、満員御礼(生徒が座る席がない)までに堂々と授業ができるようになっていました。
「佐藤先生の授業が、一番楽しみです」「学校は休んでも、先生の授業には来ます!」などと、生徒達から嬉しいお世辞を言ってもらったり他の先生達から「先生は、人気者ですね!」と冷やかされたりする度に、でも最初のころは、ほんとうに全然ボロボロだったんだよ、と、ひとりで苦笑いしていたものです(笑)
■静かに、広がっていく。
私が、授業をする時に心がけていたことのひとつは、まずは1人の生徒の気持ちを掴む、ということでした。最初の授業で一気に、10人、20人の心を引き寄せるのは、とても難しいことですし、残念ながら私のレベルでは、まず不可能なことでした。
でも「まず1人」に向き合って、わくわくさせて、よし、頑張ってみようかな! という気分にさせるのは、私でもなんとかなりました。不思議なもので、最初の一人を「心から感動」させることができたのならば、その気持ちの揺れは静かに周りに、伝わっていくものです。例え時間がかかったとしても、粘り強く根気づよく伝えていけば、2人、3人とスイッチが入り最後はクラス全体で、ひとつの方向を向くようになるものなのです。
私(佐藤)は、実際に数百時間以上、現場で授業を行ってきましたから、その様子を何度も体験してきました。
■まずは「ひとり」に向きあう。
広告や、ホームページのように不特定多数の人に向かって、文章で表現する時も全くおなじです。まずは「読者(と自分がイメージしている)のひとり」の人に向けて、ていねいに考える、表現する確かめる。この作業を、意識的、無意識的に繰り返していくことで、あなたの文章は「たくさんの人」に伝わるものへと成長していくはずです。そして不思議なことに、同時多発的に様々なところから共感の言葉が返ってくるようになるものです。逃げずに目を逸らさずに、何度も向き合ってください。実は最初の一人が、一番難しいものなんですよ。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
リニューアルの追記
たくさんの人に向けて伝えたいことがあるからこそ、耳を傾けてくれる「最初の一人」に向かって丁寧に語りかけていく。すべてはそこが出発点です。この感覚を忘れずに大切にしておいてください。将来、50人、100人と耳を傾けてくれる人が増えていくにつれて、この最初の感覚が「さらなる成長」を目指す時の大切な経験になるからです。