伝わる&売れる文章のルール その72 表現力は忍耐力。
新しいものを作る時は、曖昧な時間の連続です。
私たちは「白黒はっきり」しないことが苦手です。はっきりとした「答え」がないと不安になる、という言い方もできるでしょう。ところが「新しいものをつくる」という作業は曖昧な時間の連続です。そもそも答えが存在しないものを作るわけですから、曖昧で正解なのです。
白でもなく黒でもない。答えもあるようで、ない。正しい方向に進んでいるような、いないような。こちらでいいのか、先ほどのがいいのか。だから結局どちらがいいんだ? 悪いんだ? どうなんだ?そんな「もやもやとした時間」が続いていくのが「新しいものをつくる」という時間だと思うのです。
何かを産み出すには「忍耐力」が必要。
私たちは「すぐに答えが返ってくる」状況に慣れてしまっています。パソコンの前に座ってクリックすれば、探している情報がすぐにわかる。答えが見つかる。必要なものを注文して翌日には手元に届く。それが当たり前になっていますから、答えが見つからない曖昧な時間に耐えられなくなっているように感じます。
結果として「すぐに使えるテクニック」のようなものを求めてしまいます。そのテクニックが使えなくなれば、また別の情報を探すことを繰り返します。栄養ドリンクを飲めば数時間は乗り越えられますが、効果が切れたならば新しいドリンクを飲まなければいけないことと同じです。しかし、そのような刹那的な思考を続けていると、あたらしいものを作り出す時の原動力となる土台が弱くなってしまいます。粘り強く押し出す時の「あと一歩」が不足して、息切れしてしまうのです。
もやもやの時間は、新しい可能性を見つける時間。
もしも今あなたが、自分なりのベストを尽くしているのに「もやもや」を感じてしまって上手くいかないと感じているのであれば、それは「新しいことに、正面から挑戦している」ということなのかもしれません。その時間を恐れず、あと少しだけ粘ってみることをお勧めします。 「現在の自分に存在していない経験・知識」と出会えるまでは、もやもやが続くでしょう。しかし「それ」は必要な時間なのです。
「白黒つかない、もやもやとした時間は、新しいことに挑戦している証」
ほんの数年前と比較して、現在は答えが見つかるまでのスピードが格段に早くなっています。あと少し、ほんの少し先に進むだけで、たくさんの可能性を手にすることができます。「すぐに使えるテクニック」で加速させつつも「時間をかけて育てる土台」をおろそかにしないように「もやもやの時間」を楽しみながら、歩いてほしいと思います。その先には、今まで誰も見たことがない場所が広がっているかもしれないからです。
伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
リニューアルの追伸:「粘り強く作業を続けている時」に「ちょっとしたテクニック」を試してみると、一気に視界がひらけてくる時があります。真面目に頑張りすぎる人は「すぐに使えるテクニックを、短時間に大量に」試してみることも必要です。様々な角度から「もやもや」を刺激してみましょう。
当ホームページ上では、各国の著作権法、及び条約等により保護されている 文章、図画、写真、プログラム、編集著作物、データベース、及びこれらの二次的著作物等の各著作物が 含まれている場合があります。ホームページ内の著作物について、権利者に無断で複製、配布、貸与、送信、放送、変造等の行為を行うことは、 著作権の侵害となり、法的に罰せられる事があります。