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その23 すべての事象が移り変わっても、言葉は生き続ける。

売れる文章講座

ルール 23

言葉は「生き続ける」

 
それでは、今日の問題です。次の和歌の「作者名」を答えて下さい。
 

花の色はうつりにけりないたづらに
わが身よにふるながめせしまに

 
 
 
 
 
 
【答え】
 
↓↓
 
小野小町(平安の女流歌人 六歌仙の一人)
 
御存知の方も多いと思います。「絶世の美女」とされ、様々な伝説を残している方ですね。ちなみに、この歌の意味を佐藤流に解釈してみると、
 
花の色(桜)が、すっかりと色褪せてしまったように、
私の容姿も、すっかり色褪せてしまった。
この世に降り落ちる長雨を眺めて、ぼんやりと物思いにふけっている間にね。
 
とまあ、こんな感じになるのでしょうか。絶世の美女が「すべてのものは時とともに移り変わる。変わらないものなど何もない」と、自分の姿をみながら静かに考えている様子には、何ともいえないせつなさがありますね。しみじみ。
 
 

■現状維持は、衰退の始まり。

 
最近思う事は「ひとつの成功で、満足したらそこで終わり。現状維持は衰退の始まり」と、いうことです。いや、もちろん私は「成功者」ではありませんし、まだまだこれから頑張らなければならない訳ですが、それでも自分がプロデュースした商品が売れ、さらに「締め切りと書いてありましたが、なんとかお願いします」というような、嬉しい申し込みが続くと、どうしても天狗になりますし油断がでてきます。きっとこの状態が永遠に続くだろうと錯覚してしまいます。
 
しかし、至福の時間は「ぼんやりしているうちに過ぎてしまう」ものです。素晴らしい反応があったホームページも、魔法のようなツールも、やがて「反応は落ち」駄目になってしまう。これが現実なのですね。
 
例えば、売れているデパートは半年に一度くらいで「リニューアル」をしますよね? どんなに売れていても、絶えずデーターを分析し、たくさんの費用をかけ血を入れ替えていくのです。せっかく設置したレイアウトを、潔くバラバラに壊してしまい、ゼロからまた作り直していくのです。
 
 
■永遠に「変わり続けよう」。
 
ところで、あなたが「この前、ホームページをリニューアルをしたのは、いつですか?」半年以上も、同じ文章を掲載し続けて「最近なんだか、反応が落ちたな。不景気だしな・・・」と、外の長雨を、ぼんやりと眺めていませんか?
 
止まったら、そこで終わりです。ただし、歩き続けていれば「必ず風景」は変わりますし新しい出会いが、あるものです。必ずどこかに変化が、生まれてきます。私達は、平安時代を生きている「小野小町」じゃないんです。自由に外を歩き回り、望むのならば「別の世界」にだって飛び立つ事ができるのです。移り変わることが、世の中の真実であるならば、そこに生きる私たちも変わり続けなければいけません。
 
 
■言葉は「生き続ける」
 
ちなみに、小野小町は、809年に出羽の国に生まれたとされています。つまり、今からざっと「1.200年前」の事です。1.200年も昔の歌が、今でも伝わっている。たくさんの人が目にしたことがある。改めて考えると、凄くないですか? 1.200年後は無理としても、少しでも長い間、お客さんの記憶に残るような文章を書いてみたいものですね。
 


伝わる文章講座  佐藤 隆弘 拝
 


 
リニューアルの追記
この文章を書いたのは、かれこれ10年以上も前のことになります。10年以上もの歳を重ねた今「まあ、このままでもいいかな。」と、ぼんやりと立ち止まってしまう時間が増えたように感じます。いや、正確に表現するならば「このままでもいいじゃないか」と、足を止めようとする力が強くなってきたように思います。もちろんこの力は誰かが私の足を押さえつけているわけではありません。自分自身で自分の足を押さえつけているのです。さらに「ぼんやり外の風景を眺めている」と、あっという間に時間が過ぎてしまいますから、ほんとうに危ない。ちょっと前のめりなくらいでちょうどいいのではないか。と、40代を迎えた今はそのように考えています。

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