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夏目漱石「私の個人主義」より。

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漱石だって「不安」になる。

 
誰だって不安になります。これは、成功している人も、同じだと思うのです(たぶん)。例えば、文豪・夏目漱石は「私の個人主義」の中で、このように話しています。
 

私は私の手の中に、ただ一本の錐さえあれば何処か一ケ所突き破ってみせるのだがと、焦り抜いたのですが、生憎その錐は人から与えられる事もなく、また自分で発見する訳にも行かず、ただ腹の底ではこの先自分はどうなるだろうと思って、人知れず陰鬱な日を送ったのであります。
私はこうした不安を抱いて大学を卒業し、同じ不安を連れて松山から熊本へ引っ越し、又同様の不安を胸の底に畳んで遂に外国まで渡ったのであります。
夏目漱石「私の個人主義」より(一部抜粋)※一部、現代仮名遣いに直してあります。

 
東大を卒業して文部省の給費留学生として、イギリスへの留学。私のような凡人から見ると「さすがエリートだな・・・」と、そのくらい能力に恵まれていたのならば、やりたいことは何でも出来るんじゃないか、と思う訳ですが、漱石自身は「陰鬱だった」と「不安だった」と、話している訳です。(ちなみに漱石は、渡英後、神経衰弱に悩まされることになります。このことに関しては、また別の機会に書いてみたいと考えています)
 
もちろん、漱石のような天才の「悩み」と、私のような凡人の「悩み」では悩んでいるレベルや質がが違うと、思います。でも、あの漱石だって悩みながらも自分の進路を決めて行ったんだ、と思うと、なんとなく親しみが涌いてくるような気がします。
 
そんな「悩み」を越えてきた漱石の人生を考えながら、芥川に送った手紙を読むと、また違った感動といいますか、体験した人だからこと表現できる思いやりの深さを感じるような気がします。自分が不安だったからこそ、迷っている人、悩んでいる人に優しくできるといいますか、そんな雰囲気が伝わってきますね。
 
 

■不安を抱えながらも「動かし」続ける。

 
私は仕事がら独立を目指している方や、独立後、毎日必死になって、がんばっていらっしゃる方と、お話しさせていただく機会があります。みなさん「夢に溢れて」「あれもしたい。これにも挑戦したい」と、これからの目標を話して下さいます。そんな方達のサポートをするのは、私も本当に楽しい。多少つかれ気味で、ふらふらな状態だったとしても、カウンセリングの後はパワーをわけていただくことで元気になっていることも、少なくありません。
 
もちろん、そのような方達も、決して「不安」が、ない訳ではないのです。みなさん「不安で不安で、睡眠時間が毎日2時間」といいながらも、社員の前で、弱い所を見せる訳にはいきませんから、歯を食いしばりながら、それでも動く事だけは止めない訳です。止まったら、そこで終わり。誰も助けてはくれないし、すべてが自分の負債になる。でも、動き続ければ何かがわかる。動かなければ、何もわからない。彼らは、それを体験から知っているのだと思います。
 
先日、ある若き起業家の方が私に語ってくれた言葉。「やらないで後悔するよりも、やって後悔する方がいい」
 
不安を抱えながらも、考え続け、動き続けましょう。漱石だって、悩んで苦しんで、それでも動き続けたのですから。
 


伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
 
関連:
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佐藤の読書日記 夏目漱石

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