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伝わる&売れる文章のルール その15 文豪のプロポーズ

売れる文章講座

「作家」のプロポーズの手紙を読んでみよう。

 
プロポーズは、多くの人にとって「一生に一度」の大イベント。ずっと記憶に残るものですから、最高の文章に仕上げて伝えていきたいもの。さて、では文章の天才である文豪は、どのようなプロポーズの手紙を書いているのでしょう?
 

僕のやつている商売は 今の日本で一番金にならない商売です。その上僕自身も 碌に金はありません。 ですから 生活の程度から云へば何時までたつても知れたものです。それから 僕は からだも あたまもあまり上等に出来上がつていません。(中略)
 
僕には 文ちやん自身の口から かざり気のない返事を聞きたいと思つています。繰返して書きますが、理由はひとつしかありません。僕は 文ちゃんが好きです。それだけでよければ 来て下さい。(以下略)

 
これも、わりと有名な「恋文」ですね。もう分かった方も、多いかもしれませんが、どうでしょうか?なんだか、しんみりとした、気持ちが伝わってくる文章ですよね。さて、この手紙を書いたのは??
 
 
 
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   ↓↓ ヒント:羅生門
 
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答え:
芥川龍之介が、塚本文にあてて書いた手紙。
 
 
芥川龍之介の資料を見ると、この手紙が良く紹介されています。読んでいると、なんだかこちらまで、なんとなく気恥ずかしくなってくるような、まさに、恋愛中の恋人にあてて書いた文章という感じですね。本来なら、他人に見せるようなものでは、ありませんが、文豪ともなると・・・大変です(笑)まあ、それはともかく、芥川といえば、羅生門を思い浮かべる方も、多いと思います。
 

芥川龍之介 羅生門「冒頭文」
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。

 
う~ん、並べて比較してみると、全然、雰囲気が違いますよね。小説の文体では語尾が違うだけではなく、全体の雰囲気が「凛」としています。さすが文豪の文章、という気配が漂ってきます。
 
 

どちらが「自分らしく、気持ちが伝わるか?」

 
話し言葉で書くか? それとも、文語調で書くか?
これだけでも、文全体の雰囲気は大きく変わってきます。自分が「どのようなキャラクターを表現したいのか?」そして、「どのような雰囲気で、文章を読んでもらいたいのか?」で、使い分けていかなければ、ならないのですね。
 
私も、いただいたメールを読んだ印象では「ちょっと厳しいそうな、神経質そうな感じの人」だと思っていたのに実際に会ってみると「親切で腰が低い、優しい方だった」という事が、何度もあります。そのような文体で、書いている人は、ある意味「損をしている」部分があると思います。本当は「優しく親切」なのに、文章が冷たそうなので、問い合わせを控える人だって、いるかもしれません。最後のさいごで、踏みとどまってしまう人もいるかもしれません。
 
 

■使い分けよう。探してみよう。

 
みなさんも一度「自分の文章で『自分らしさ』は表現できているか?」を、確認してみて下さい。そのために、様々な文章を読んで真似てみて「自分に合った文体」を探してみて下さい。
 
自分は「どのような人間だと思われたいのか?」
そして「どのような自分を演出したいのか?」
 
「実際に会ってみると、いい人なんだけど」では、駄目なのです。まずは、文章だけであなたの『印象』を伝えなければ、いけないのです。自分らしさを伝えるために、一度「文体」を確認してみては、いかがでしょうか?
 


伝わる文章講座 佐藤 隆弘 拝
 
参考
ルール14 わかりやすさは技術である
必ず『トリック =仕掛け』が、ある 芥川龍之介「薮の中」
佐藤の読書日記 芥川龍之介

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